本日、無事に父は退院いたしました。
その前に、整形外科を受診したので、そちらの報告もしたいと思います。
入院中の診察という事で外来で待つことなく、時間があいた時に「下に来てください」と言われ、伺いました。
最初に症状の説明。これは神経内科での内容と同じ物でした。
手の筋肉低下はやはり「肘部管症候群」のため。
この病気は進行性のため手術しても回復するとは限らない、と言われました。
通常、この病気はまず「痺れ」が症状として出てきます。そのうち、指が固まったりして
動かなくなり、「何とかしてくれ」と言って診察に来る場合が多いようです。
そのまま放っておくと筋肉がやせ細ってしまうので、その段階で手術をするのがセオリー。
しかし、父の場合、最初に筋力低下が起きて筋肉が痩せた。
ちょっと普通とは違うようです。やせ細ってしまうと手術してもきちんとは回復しない。
しかしながら、放っておくと確実に細かい動作が出来なくなる、という事でした。
そこで、手術をするかどうかを聞かれました。
ちょっと戸惑ったのは、「手術はどっちでもいい」と言われたこと。
「え? 確かに手術してもよくはならないかも知れないが、しなかったら確実に悪くなるんですよね? 最悪動かなくなるのですよね?」
「はい、そうなります」
「じゃぁ、先生の判断としては手術が必要、という事ですか?」
「いえ、そうは言っておりません。今回の手術はこれ以上悪くならない為の予防的手術であるからです。動かなくなったら絶対に手術は必要なのですが」
「えっと・・・ということは、動かなくなるまで待てという事ですか?」
「それは私が決めることではありません。お父様の判断も含めて決めて下さい」
なんというか、ちょっと戸惑いました。
こちらは手術の必要のないものは無理にするつもりはありませんが、今後確実に悪くなると言われているのに、何もしないで見守る、という選択肢があるのか・・・?
それとも、医療保険などに「進行を防ぐ目的の手術は保険金給付適用外」という例があるからだろうか。
(確か、失明に関する手術などはそうだった)
どっちにしろ、動かなくなってから手術しても回復は難しいだろう。筋肉が完全に劣った状態でリハビリをすると言うことがどれだけ負担になるか知れない。
それとも、回復しないのだから手術は無駄というわけか。
この先生は、殊の外「インフォームドコンセント」を重視するあまり、患者に戸惑いを与えている事ということを理解しているのだろうか。
(つか、医師が手術が必要です、といっても患者が嫌だと断れる、というのがインフォームドコンセントだと思うのだが・・・。医師が意見を述べないのは困ると思う)
確かに、手術するかどうかは患者側が決める。そうでないと「勝手に手術された」と言われかねない。
しかし、こちらは素人だ。ある程度の示唆は欲しい。
全くする必要のない手術はするわけがない。また、手遅れ過ぎてもしないだろう。
今手術したら・・・運が良かったらこれ以上進行しない。
しなかったら確実に進行し、余程運がよい場合を除いて手は動かなくなる。
そんな状態なら普通の医師(少なくとも今までの医師)は「絶対に進行しないという事は保証できませんが、何もしないよりも確率は上がると思います。どうでしょうか?」という多少誘導尋問的だと非難されるような言い方をしてでも、手術をすすめるのではないか?
その上、わざわざ、「右手は利き腕ですか?」と聞く背景には「利き手じゃなかったら無視しましょう」という感じにもとれる。
僕の立場として、事前に「このままだと動かなくなる」という事を知っており、さらに、
「もしかしたら手術したら進行がとまるかもしれない」という事も知っている状況で、
「何もしないで、動かなくなるのを待つ」という選択肢をとった場合、周囲に何と説明したらいいのだろうか。
心の中では、手術が必要なんだ、と分かっていてもすぐに「じゃお願いします」と素直に言えない自分が居た。
どことなく、突き放したような言い方が気になったからだ。
医師はまだ若く、僕と変わらないと思う。自分でも「まだ若いので(その手術をした回数は)50くらいです」と言っていた。
僕は若い医師でも経験が少なくても、信用しないという事はない。
事実自分の鼻の手術の時は、同い年の先生(これも経験は50回程、と言われた)に任せたくらいだ。
しかし、何となく、あんな言われ方をしたら「私は本当は手術したくない」と思っているのかと思ってしまう。
だからといって、「いや、他で手術します」とも言えない自分がいた。
やはり神経内科での医師との会話や優しい看護師さんとかを想像して病院に対する信頼があったからだ。
結論をすぐに出す必要もないと思ったが、この大学病院の場合、一度離れると予約などが大変なので、
「ちょっと考えさせて下さい。次回の診察時にどうするか報告します」
と、予約だけはしっかりしてから入院病棟に戻ることにした。

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